早朝の広島、鎮守の森「二葉山」で感じる自然・歴史・文化が凝縮された時間を過ごすサステナブルツアー。

自然保護と地域が元気になる“循環する観光”を見据えて

一般社団法人My Japan

二葉山の山頂にて朝ごはんを頬張る喜び

広島駅から徒歩10分ほどに位置する二葉山。私たちはこの山を舞台に、早朝のハイキングツアーを実施しています。ガイドの案内に従って巡るのは、全体で3時間ほどのコース。登頂する二葉山の山頂からは、瀬戸内海の島々と宮島まで見渡せる絶景が広がります。

ツアーに参加いただいた方にはこの絶景を目の前に特別な場所でお弁当を召し上がっていただくという、贅沢なひとときをお過ごしいただいております。

ツアーを開催するに至った経緯としては、1つに広島東照宮の方とお話させていただいたことに始まります。広島東照宮は江戸時代に広島城城主によって建立されました。江戸時代に城下町として発展した広島の総鎮守として長年広島の人々から愛され、広大な二葉山も広島東照宮の境内となります。そのような歴史がある二葉山ですが、近年は訪れる方の高齢化や山道の損傷により人々が訪れにくくなってしまった現実がありました。

そこで東照宮の方と協力して、二葉山を活用したツアーを私たちが造成するに至り、先人たちが大切にしてきた歴史や文化、想いを語り継ぐためにガイドが必要だと思いガイドツアーを開催しています。

ガイドは広島の歴史はもちろん、日本古来より受け継がれてきた日本人の心や自然を大切にする神道の考え、植物についても学んでいただくなど、育成に力を入れています。

もう一つ、このツアーには企画した理由は、近年広島を訪れる訪日観光客は増えたけれども、多くの方が広島に宿泊せずに日帰りで帰ってしまう通過型の観光になっている課題があったからです。そこでこの課題を解決すべく広島に不足していた早朝に実施するコンテンツを作ることで、前夜から泊まっていただき、より長く広島を楽しんでいただけたらと思って早朝ハイキングツアー「Asageshiki」を企画しました。 観光客の広島の滞在時間を伸ばすことで地域経済の発展につなげたいと思っています。

目の前に広がる絶景と五感で感じる自然

「Asageshiki」の魅力は紹介しきれないほどにありますが、1つには広島の歴史や文化、二葉山にある古来から守られてきた原生林の自然に触れられるという点です。とりわけ「Asageshiki」では“早朝だからこそ感じる空気感や早朝にしか見られない景色”が堪能できます。

ツアーの中では森の中でシートをひいて寝そべり、五感を研ぎ澄ます森林浴の時間も設けています。また、二葉山の山頂には平和祈念塔が立っており広島の美しい街並みを眺めながら平和のメッセージも伝えています。広島の人々が戦後から繋いできた復興への想いも感じ取ってもらえたらと考えています。

心に沁み渡る至福の一服

景色に加えて、ツアー参加者にお召し上がりいただく朝ごはんにも魅力が詰まっています。お食事を召し上がっていただく場所は、特別に許可いただいた神社の奥宮。そちらで地元のお弁当屋さんと開発したAsageshikiオリジナルの食事を召し上がっていただきます。メニューは全て広島の地元食材の使用にこだわりました。またたくさんの方に体験していただきたいと思ってヴィーガン対応のお弁当メニューもご用意しております。食事を召し上がっていただいた後はガイドが目の前で二葉山を流れるご神水を沸かし、皆さまのお茶を野点(のだて)という野外で楽しむお茶を点てさせていただきます。絶景を眺め身体中に沁み渡るような至福の一服体験は、ツアーのハイライトとしてお客様に喜んでいただいているところです。

観光を通じて地域に好循環が生まれる。

「Asageshiki」を始めて嬉しかったことは、このツアーを通して二葉山に関わる地域の方々までもが変化し、二葉山や広島東照宮などの自然環境や文化資源へ還元されているという点です。実際にツアーを実施するには山道整備の面で大きな課題があり、ツアーができるようになるまでは2年ほどかかりました。ガイドや地域の有志のボランティアの方と協力して山道の階段を整備し、小さいお子様から高齢者の方まで登りやすいようにと山中に手すりを設置するといった取り組みを行いました。すると旅行者の方たちだけでなく、地域の方々も二葉山に登ってくださる方が増えていくようになったんです。

広島県観光連盟の補助金を活用して、山の自然環境を維持するために必要な伐採の行き届いていなかったところを間伐し人が手を加えることで自然環境が良くなりました。山頂からの眺めも木が生い茂っていたとこから手入れをすることで宮島までが見渡せる絶景が現れました。最近では景色を眺めにたくさんの方が訪れるようになりました。こうして広島の重要な資源である「二葉山」を保護しながら観光利用し、再び保護につなげるという好循環によって、人々の往来が生まれ、地域の方々も元気になる。

今後も環境・文化・経済がつながり“循環する観光”として、より良い持続的な未来へ繋げることができたら嬉しいです。

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