AR(拡張現実)アプリを活用した 新しいスタイルの平和教育ツアーで、 広島の体験を後世まで継承する
Peace Portal
NPO法人Peace Culture Village
ARアプリを活用した新しい形のツアーを
私たちは広島で平和教育を行うNPO法人「Peace Culture Village」を運営しています。
レストハウスに集合し、原爆ドームや原爆死没者慰霊碑、原爆の子の像など、平和記念公園内をガイドと共に巡るツアーです。
参加者は、各スポットでARアプリ内のバーチャル地図をタップすれば、目の前で話をしてもらっているような感覚で聞ける被爆者の方の証言を始め、原爆や戦争に関するストーリーを、様々な資料や音声と共に見たり聞いたりすることが出来ます。
アプリは、日本語、または英語対応が可能で、オンラインツアーにも活用できます。
平和の伝え方を時代に合わせアップデート
平和記念公園内を巡るツアーなどを実施してきましたが、平和を伝えていく手段も、よりリアルに、より主体的に興味を持てる形にアップデートする必要があると常々考えていました。
何を伝えるかと同じくらいどう伝わるかを大切に。
新たな手法を探る中でたどり着いたのが、平和×テクノロジー。
アメリカに本社を置き、世界中の観光地で歴史に関するVR・ARコンテンツを多数制作している「タイムルーパー」社との出会いから、私たちが持つ平和というコンセプトと、「タイムルーパー」社が持っているテクノロジーを掛け合わせた新しいコンテンツを制作したいと考えました。
補助金制度については、「このようなプロジェクトをやってみたい」と知人に話したところ、紹介を受けて申請しました。
補助金はARアプリの開発費用として利用し、よりクオリティが高く自分たちが実現したい理想の形を実現することが出来たと思います。
被爆者の思いを後世まで伝えていきたい
なぜ私たちが平和記念公園で事業を行うことに決めたのか。そこには2つの理由があります。
1つ目は、ヒロシマの継承に繋がるという点です。継承者不足や資金不足などを理由に、5年後には37%の被爆者団体が活動困難になると言われています。
これからも被爆者のメッセージを伝えていきたいという思いでアプリを制作しました。
2つ目に、平和記念公園を訪れる方に、より充実したツアーで学びを届けたいと思っています。
実際に平和記念公園を巡りながら被爆者の証言を聞き、広島に来てよかったと多くの人に感じてもらいたいですね。
「いつか広島へ来たい」という人を世界中に
昨今の新型コロナウイルスの影響で、国内外から広島を訪れる観光客が90%ほど減少しています。この度開発したアプリを活用すれば、広島へ来訪することができない修学旅行生や国内外の観光客が、オンライン上でも同レベルの体験が出来るのが大きな強みだと思っています。
そこで、全国の学校、子どもたちに、このアプリを活用した平和学習を届けたいと考えています。また、実際に平和公園を訪れる前の事前学習としても活用してもらうことも可能です。
ただ平和記念公園を歩くだけでは伝わらない広島の深い歴史やメッセージを伝えたいですね。
また、コロナ禍で日本を訪れることが出来ない世界中の方に、このアプリを通じて広島の体験を知ってもらいたいという思いも持っていて、すでに約20か国でのオンランツアーも実施しています。
広島という街に興味を持ってもらい、「いつか広島に足を運んでみたい」という人々が世界中に増えればうれしいです。