地域を思い、平和を願う「呉・AR艦艇めぐり」海軍料理を味わい、歴史を学び、数々の艦艇が蘇る体験を

「呉・AR艦艇めぐり~その歴史を探る旅~」総合センター(クレイトンベイホテル)

呉市を舞台とした歴史遺産体験ツアー

私たちが造成した「呉・AR艦艇めぐり~その歴史を探る旅~」は、かつて日本最大の海軍工廠を擁した呉市を舞台とした、歴史遺産体験です。終戦時には多くの帝国艦艇がこの海域で最期を迎えました。ツアーにお越しいただいた方には、かつて艦艇の魚雷庫があった地に建つホテルに泊まり、専用桟橋からARを活用した鎮魂遊覧に出航していただきます。ホテルでは併設の日本料理レストラン「呉濤」にて、現在6種類の海軍復元料理を提供しているのも特徴です。さらに特別講座として、帝国海軍最後の戦い 呉軍港空襲攻防戦に関する講話も聞いていただきます。こうした一連のプログラムを通して、風化しつつある艦艇の歴史に触れ、この地でくり広げられた戦いへ理解を深め、平和と公正を全ての人にもたらす契機になればと考えています。

コロナ禍を契機に出会った人と地域の財産と

このプログラムをつくったきっかけには、コロナ禍が関係しています。コロナ禍が長期化するにつれ、呉周辺では閉店せざるを得ない居酒屋さんが複数出てきました。その中には艦隊コレクションを数多く展示しているようなところもあって、何かに活かせないかと考えたんです。そんなことを考えていた折、帝國艦艇のAR制作を目指す広島工業大学の非常勤講師であり、STUDIO SLEIPNIRの代表の方とも出会うことができました。そこで早速、初期段階のARをスマートフォンで再現しながら呉湾や江田島湾を巡ったところ、慰霊碑の存在にも気づかされました。長い年月に渡る石碑の管理は難しいに違いありませんから、地域の方々に敬意を払う意味でも、歴史を風化させないためにも、何かできることがないかと考えたんです。

また、ARの開発で広島工業大学に、動画のナレーションでヒューマンアカデミー広島校に、ツアー全体のアドバイザーとして広島国際大学にぞれぞれ協力していただいております。その他、呉地域観光連絡協議会、呉海軍グルメ研究会にも参加していただいており、地域の協力がなければできない企画でもありました。

この企画ならではの特別な体験を用意

こうした経緯を経て完成したプログラムには、この企画ならではの体験がいくつもあります。一つは海軍料理研究家の高森直史氏に監修していただいた海軍料理です。このプログラムに参加いただいた方のために、入船山記念館・旧呉鎮守府司令長官官舎に展示されている、昭和5年(1930年)9月1日軍艦「出雲」の艦上午餐会の献立を復元したフランス料理フルコースを提供します。また、帝国海軍最後の戦い 呉軍港空襲攻防戦に関する特別講座も、当企画専用の資料を用いて実施してきました。

呉周辺を何度も訪れてもらえる仕掛けづくりを

これらのコンテンツを交えながら、「呉・AR艦艇めぐり~その歴史を探る旅~」というタイトルにもあるように、クルーズ船に乗りながら往年の艦艇の姿をAR(Augmented Reality/拡張現実)でご覧いただいています。今回開発した10隻の内、5隻を使ったコースでスタートします。次回以降は、江田島市を回っていただく新しいコースを企画することで、私たちのツアーをリピートしてくださる方やファンになってくださる方を増やし、呉周辺を何度も訪れてもらえる仕掛けづくりをできたらと考えています。

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歴史や文化に触れ、英語で表現する「ヒロシマツーリズム」多角的な視点を持ち、世界に羽ばたく後押しを